坐骨神経痛
腰痛シリーズ

腰から足にかけてのしびれの原因とセルフケア

【腰部脊柱管狭窄症・腰部椎間板ヘルニア・梨状筋症候群】 症状別腰痛の原因とそれぞれのセルフケアについてご紹介。

 当店には慢性腰痛や、腰痛を原因とした足のしびれを訴えるお客様が多くいらっしゃいます。一言で腰痛といってもその出方は違っており、ご自宅で誤ったセルフケアをすることで逆効果になる場合があります。
 そこで今回は、症状別腰痛の原因とそれぞれのセルフケアについてご紹介します。


腰部脊柱管狭窄症を原因とした足のしびれ

 この症状の特徴は、歩行中や立位中に足がしびれて痛み、休まざるを得ない状況になることです。
 原因は、腰の骨である腰椎の中にある脊柱管という神経の通り道が狭まって、神経が圧迫されることによっておこります。特に、加齢によって背骨の椎骨、それをつなぐ黄色靭帯、椎骨どうしの間にある椎間板が変形することでおこり(図1参照)、高齢化に伴って急増しています。

椎間板
図1

 腰を反らすと神経の通り道である脊柱管が狭まるので、日頃から反り腰姿勢の人は脊柱管狭窄症になりやすいです。そこで反り腰から正しい腰の姿勢に改善させることが大切で、骨盤の位置を反り腰特有の前傾から後傾へと変えていきます(図2参照)。

反り腰
図2

 骨盤が後傾すると、背骨の腰部分である腰椎が丸まって背中側が広がり、脊柱管も広がるため、しびれの症状が和らぎます。
 そこで、反り腰がクセになっている人にお勧めなのが骨盤後傾体操です。

[骨盤後傾体操のやり方(図3参照)]

  1. 背中がそらないよう、膝を立てて四つばいになる。
  2. 鼻から息を吸いながらお腹をグッと締めつつ背骨全体を丸め、自然に呼吸しながら10秒キープ。  
  3. 口から息を吐きながら手の位置を動かさずにゆっくりお尻を引き、腰椎を丸めて正座する。自然に呼吸しながら10秒キープ。
  4. 鼻から息を吸いながら①に戻る。

これを3回繰り返して1セットで約1分、1日2〜3セットを目安に行ないます。

お腹の筋肉を鍛えて、反り腰を防ぐ効果があります。


腰部椎間板ヘルニアを原因とした足のしびれ

 腰部脊柱管狭窄症が腰を反らせた時にしびれが出るのに対し、腰部椎間板ヘルニアは逆に前かがみになると足にかけてしびれが出るケースです。
 これは背骨の腰の部分である腰椎の前側に椎間板があり、その中にある髄核というゼリー状の組織がずれて神経を刺激することで症状が出ます(図4参照)。

図4

 腰部脊柱管狭窄症の原因に加齢が多かったのに対し、腰部椎間板ヘルニアは中腰での作業や、長時間の車の運転やデスクワークでの前かがみ姿勢で、腰椎に負担をかける人に多く見られます。

 この症状を改善するには、腰を反らせて椎間板にかかる負担を軽くすることが大切で、お勧めなのが腕立て腰反らし体操です。腰椎を無理なく反らし、前かがみ姿勢を正して背骨のS字カーブを整えるのが目的です。

[腕立て腰反らし体操のやり方(図5参照) ]

  1. うつぶせになって肘を曲げ、手のひらを顔の横に置く。
  2. 口から息を吐き、腕に力を入れて上体を顔→首→胸の順にゆっくり起こしていく。
  3. 下腹部は床につけたまま腕を伸ばし、へそが床から離れるところまで上体を持ち上げて腰をそらす。自然に呼吸しながら20秒キープ。
  4. 鼻から息を吸いながら①に戻る。

これを3回繰り返して1セットで約1分、1日2〜3セットを目安に行ないます。

腰を反らすことで椎間板にかかる上下からの圧力をゆるめ、神経の圧迫を取り除く効果があります。


梨状筋症候群を原因とした足のしびれ

 これは臀部の深部筋である梨状筋(りじょうきん)という筋肉とその周辺の筋膜がこわばって、その中を通る坐骨神経が圧迫されることから、足にしびれや痛みが出る症状です(図6参照)。

梨状筋
図6

 腰部椎間板ヘルニア同様、デスクワークや車の運転などで長時間座りっぱなしの人に多いです。梨状筋ストレッチで2週間ほどほぐすと、筋肉が柔軟になって症状が軽くなることがあります。

[梨状筋ストレッチのやり方(図7参照)]

  1. 仰向けに寝て両膝を立てて、片足(今回は左足)を上にして足を組む。
  2. 両手を組んで左膝を抱え、自然に呼吸しながらゆっくりと対角線上の右胸の方へ引き寄せ梨状筋を伸ばす。
  3. お尻の筋肉が伸びているのを感じながら30秒キープ。
  4. ゆっくりと足を元へ戻す。反対側も行なう。

これを2回繰り返して1セットで約1分、1日2〜3セットを目安に行ないます。

梨状筋や腱膜のこわばりをほぐし、坐骨神経への圧迫をゆるめる効果があります。


おわりに

 腰痛からくる足のしびれは決して放っておかず、早めに対処することをお勧めします。また、原因が内臓疾患によるものなど深刻な可能性もありますから、ご自分で判断するのではなく、ぜひ専門医療機関でご相談ください。

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